NextHill LAB / Article 03
なぜエラスチンなのか
「伸びて、戻る」を支える構造タンパク質を、4枚の図で読み解く
この記事の要点
- エラスチンは、皮膚・血管・肺・靱帯など、伸び縮みする組織に存在する構造タンパク質です。
- エラスチンだけが持つ「デスモシン・イソデスモシン」という架橋が、伸びても元に戻る性質を生み出しています。
- コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸は構造上の役割が異なり、そろってはじめて一つの構造として成り立ちます。
- 加齢や紫外線曝露に伴い、弾性線維にも変化が起こることが知られています。
コラーゲンはよく知られていますが、エラスチンはあまり語られてきませんでした。けれど「伸びて、戻る」という性質は、エラスチンが担っています。この記事では、その理由を4枚の図で順に見ていきます。
CONTENTS
伸びて、戻る ― 肌の“ゴム”のような役割
デスモシン・イソデスモシンが
肌の“ゴム”のような役割をしています
デスモシン・イソデスモシン(架橋アミノ酸)
4つのアミノ酸が結びついた“結び目”で、エラスチン繊維同士をつなぐ大切な役割を果たします。
アミノ酸が一直線につながった、ロープのような構造。
引っ張ると…
伸びたままで、元に戻りにくい。
エラスチン繊維同士が、デスモシン・イソデスモシンで何本もつながっています。
引っ張っても…
元に戻る!ゴムのように伸び縮みします。
肌の“ゴムの結び目”
エラスチン繊維同士をしっかりつなぎ、伸びても元に戻る“弾力”を生み出します。
表情の動きや外部の刺激にもしなやかに対応できます。
デスモシン・イソデスモシンは、エラスチンだけが持つ特別な成分。
肌の弾力やしなやかさを支える、まさに“肌のゴム”のような存在です。
エラスチン特有の成分(デスモシン・イソデスモシン)を含み、低分子〜高分子までバランスよく配合した水溶性エラスチンです。
コラーゲンなどの一般的なタンパク質は、アミノ酸が一直線につながったロープのような構造をしています。引っ張ると伸びますが、そのままの形で戻りにくいという性質があります。
一方エラスチンは、線維同士が何本もつながり、網のような形をつくっています。そのため引っ張っても、力が抜ければ元の形に戻ります。ゴムが伸び縮みするのと同じ仕組みです。
真皮の中では、コラーゲンがハリを支え、エラスチンが弾力を支えています。表情の動きや外からの刺激にも、しなやかに対応できるのは、この性質があるからです。
エラスチンは、皮膚だけでなく、血管・肺・靱帯など、伸び縮みが必要な組織に広く存在しています。
デスモシン・イソデスモシン ― エラスチンだけが持つ結び目
デスモシン・イソデスモシンとは?
エラスチンをエラスチンたらしめる“結び目”の役割
通常のタンパク質は、
アミノ酸-アミノ酸-アミノ酸
と一直線につながっています。
しかしエラスチンは、何本ものエラスチン繊維同士が結び付いています。
この「結び目」が
デスモシン・イソデスモシンです。
「橋を架ける」という意味です。
普通のタンパク質(コラーゲンなど)
エラスチン
この縦の“橋”が
デスモシン・イソデスモシンです。
だから引っ張っても…
元に戻ることができます。
ゴムが伸び縮みする理由と同じです。
コラーゲンにはデスモシンはありません。エラスチンだけが持つ特別な架橋構造です。
コラーゲン(例)
架橋構造がほとんどない
エラスチン(例)
デスモシンなどの架橋で結び付いている
そのため研究者は、
デスモシンがある
↓
エラスチン由来だと判断します。
言わば、エラスチンの“指紋”のようなものです。
デスモシンはエラスチンしか持っていません。つまり
デスモシンが多い
↓
エラスチンらしい原料
と言えるため、品質管理の指標として使われています。
デスモシンは、
4本のリシン(Lysine)が結合してできます。
4本のリシンが結びついた構造=デスモシン
エラスチン繊維を橋渡しするイメージ
デスモシン・イソデスモシンが
エラスチン繊維同士をしっかりつなぎます。
デスモシン(Desmosine)とイソデスモシン(Isodesmosine)は、ピリジニウム環を中心に、4本のリシン由来の鎖が結合した構造です。
2つは、環に鎖がつく位置だけが異なる「異性体」の関係にあります。複雑な構造で、強固な「架橋」をつくります。
デスモシン・イソデスモシンの存在と量は、エラスチンの品質を見極める重要な指標です。
エラスチンが「伸びて戻る」ことができるのは、線維同士が結び付いているからです。その結び目にあたるのが、デスモシン・イソデスモシンという架橋アミノ酸です。4本のリシンが結合してできる、独特な構造をしています。
「架橋」とは、橋を架けるという意味です。普通のタンパク質には、この架橋構造がほとんどありません。コラーゲンにもデスモシンはなく、エラスチンだけが持つ特徴です。
そのため研究の現場では、デスモシンがあればエラスチン由来だと判断されます。言わば、エラスチンの「指紋」のようなものです。デスモシンが多いほどエラスチンらしい原料と言えるため、品質管理の指標としても使われています。
デスモシン・イソデスモシンの存在と量は、エラスチンの品質を見極める重要な指標です。
コラーゲンとエラスチン ― 役割の違いと、組み合わせ
コラーゲンは、肌の強さや構造を支えるタンパク質です。建物でいえば、柱や梁にあたります。エラスチンは、伸び縮みして元に戻る性質を持ち、ゴムのように伸縮して元に戻す役割を担います。
どちらか一方だけでは、構造として成り立ちにくくなります。柱だけの建物はしなやかさに欠け、ゴムだけでは形を保てません。ヒアルロン酸が水分を抱えることも含めて、役割の異なる成分がそろうことに意味があります。
図の下段は、その違いをボールにたとえたイメージです。コラーゲンだけのボールは衝撃で崩れやすく、エラスチンの弾力ネットワークがあるボールは、衝撃を受けても跳ね返して元に戻ります。
質を見極める ― 分子量分布と架橋構造の維持
エラスチン原料は、どれも同じではありません。加工の過程で分解が進みすぎると、エラスチンらしい架橋構造が失われてしまいます。
NextHillが採用している原料は、低分子から高分子までを幅広く含む分子量分布を保ちながら、デスモシン・イソデスモシンを含む架橋構造を維持する特許製法でつくられています。温度を低く管理して固まりを抑え、独自の濾過技術で不要な成分を除きながら、幅広い分子量を残す製法です。
品質の裏づけとして、デスモシンとイソデスモシンのモル比が測定されています。分子量別に分けても、その比率が保たれていることが確認されています。
幅広い分子量分布と、エラスチン特有の架橋構造の維持。この2つが、原料の「質」を見るときの手がかりになります。
加齢や紫外線に伴う変化
弾性線維は、一度つくられると入れ替わりがゆるやかな組織だと考えられています。加齢や、長期にわたる紫外線曝露に伴って、弾性線維にも変化が起こることが知られています。
だからこそ、日々の紫外線対策や生活習慣とあわせて、内側からの積み重ねも意味を持ちます。ARCHIBEAUTが2種類の国産エラスチンを設計の中心に置いているのは、この考え方によるものです。